眠れぬ森
いつもと違う私に。


タクミがいるのに、一人キッチンで寝るなんてこと、今まで一度だってなかったわけだし。

いつもなら、寝ているタクミの横に体を滑り込ませ、久しぶりに会うタクミの体温を確かめていた。

なのに、疲れているだろうタクミは、そんな私を優しく抱き寄せて、何度もキスをしてくれるんだ。

それが、昨晩はできなかった。

っていうか、思い切りタクミを避けてたのがバレバレだったかもしれない。



タクミは、家に帰って、自分の弟と顔を合わしてる。

普段通りに。

でも、それが普段通りでないっていうことに気付いてしまうんだろうか。

それとも、何も気付かないまま、今頃一緒にランチなんかとってるんだろうか。


心臓がバクバクしている。

やっぱり、私はとんでもないことをしてしまったの?
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