眠れぬ森
ハルキは今、どうしてるだろう。

ミズキちゃんは既に妊娠6ヶ月。

安定期に入ったら、親族だけで簡単にお披露目会をするって言ってたっけ。

きっと今頃準備に追われていることだろう。


もうハルキのことは忘れなければならない。

私はハルキの義理の姉。

そして、ハルキはもうすぐ一児の父になるんだから。


でも、私にはどうしてもひっかかっていることがあった。

ハルキは、ミズキちゃんの妊娠を知ってて、私と関係を持ったのかどうかってこと。

いずれにせよ、ハルキの気持ちが知りたかった。

人として、自分自身が許せる範囲の気持ちで私を抱いたのか。

他人は、そんなことどうだっていいって思うかもしれない。

だけど、私は、自分が少しでも惹かれた相手には、自分が納得できる人間であってほしかった。

じゃないと、単に自分が汚れた人間に思えてくるから。

あんなにも簡単に、一線を越えてしまった自分を許したかった。


結局、自分がかわいいだけなのかもしれない。

それでも構わない。

そう思う人は思えばいいって思うから。


そして、電話はふいに鳴った。

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