眠れぬ森
タクミは今の仕事に夢中で、あまりその先にある夢について語らない人だけど、たった一度だけ私に話してくれたことがあった。

「いつか、小さな洒落た一軒家で、英会話を教えながら、とびきりの料理とお酒を振るまうカフェをやりたいんだ。」

そのカフェは都会じゃなくて、山や森に囲まれた空気のおいしい場所にあって、カフェを訪れる人は皆、海外に無縁で、おしゃれな料理やワインなんて口にしたことないような素朴な人ばかり。

その中で、もし海外に興味を持った人がいたら、面倒な海外旅行の手配を全てタクミが引き受ける。

そして、初めての海外を思い切り満喫できるようなプランを作ってその人達に楽しんできてもらうんだって。

タクミの優しい人柄が、伝わってくるような夢。

タクミはいつも自分より相手だもんね。

私とは大違い。

そして、自分勝手に私と会ってるハルキとも間逆を行ってるよね。


そういうタクミを私はとても尊敬していた。





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