眠れぬ森
正直、タクミの夢に協力したいとは思わなかったけれど。


ハルキは、どんな夢を持っているのかしら。

どうせ、とてもくだらない、誰でも思いつくような夢を持っているに違いない。

今度聞いてみよう。


って、また会う気?


そんなことを考えながら、もうすぐタクミが降り立つ飛行機をカフェテラスでコーヒーを飲みながら待っていた。

タクミは2週間ぶりに帰国する。

時計を見ると、16時。

そろそろ帰ってくる時間だわ。

重たい腰を上げて、タクミと待ち合わせの場所へ向かう。

きっとまた疲れてるんだろう。

今日は帰ったら軽くお茶漬けでも食べてバタンキューね。

待ち合わせ場所に着いた。

私は、こうしてタクミの帰りを待ちながら、何度ハルキと過ちを犯していくのだろう。

何事もなかったような顔で、タクミに「おかえり」と言えるんだろう。



「ただいま。お待たせ。」

「おかえり。お疲れ様。」

タクミはいつものように私の肩を抱いて、軽くキスをした。

タクミのキスは、日本人っぽくない。

とういうのも、人前でされても恥ずかしくないような、あっさりとしたキスだから。

時に、あっさりしすぎて拍子抜けの時もあったけど。

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