眠れぬ森
タクミは、長期休暇を目の前にして、また2週間の海外出張にでかけた。

タクミは長期休暇を利用して、海外旅行でもどう?と誘ってきたけど、

しょっちゅう海外に行かされてるタクミを、休日にまで海外に連れ出すのに気がひけた。

だから、この2週間は、日本全国温泉旅。

ゆっくり、まったり、おいしいものを食べながら、体の芯まで温まる温泉を心ゆくまで堪能する。

日本のよさを再確認。

そういう提案をしたら、タクミは嬉しそうに笑った。

私の判断は間違ってなかったみたい。


「2週間も日本全国旅するわけ?」

ハルキは、ネオンライトがチカチカする大通りを運転しながら聞いてきた。

「うん、そう。たまにはね、日本のよさをじっくり堪能するのもいいかなと思って。」

「ふぅん。2週間も。」

ハルキの少しすねたような口調がおかしかった。

もっといじめたくなる。

「帰ってきたら、おすすめの宿を教えるわ。出産前に奥さんと行ってきたら?」

「別に、いい。」

ハルキはサイドガラスを少し開けた。


先週末、ハルキは結婚お披露目会をした。

新婦が身重ということもあり、かなり少人数でレストランの個室でこじんまりとした会。





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