眠れる森
「レオは先に俺の部屋に行ってて」
「?」
「ちょと王子の所に行かなきゃならないから、俺はここでドロン」
瞬きをしたらシルクの姿はない
彼が言ったドロンとは瞬身の術のことだ。
シルクは昔、魔道志の同僚が
「遠い国の忍者と呼ぶ者達の術では、瞬身と言う術があるそうだ」
から始まった話を聞き
「そんな便利な技があるんだ」
と、聞いたまんまの想像上で術を実行した
もちろん同僚は
「止めとけ、魔道志の俺達じゃ無理だ。失敗して術が弾けたら、肉身体が抉れるぞ」
と止めた。
だが、気にもせず印も詠唱も魔力の練り方も知らない術を、それら全てを省いて見事やってのけた。
…………それもケロンとした顔で
「あの術は、シルクしか出来なかったんですよね…」
長い廊下を、シルクの部屋に向かって歩く
魔道志の術でも、Sランクの詠唱を省いた術はレオにも出来る
だが忍者の術の発動と、魔道志の術の発動の仕方はまるで違う。
その忍術をシルクはできた
誰もできなかったのに。
他の誰1人も。
シルク以外は