眠れる森
「それで、私を部屋に呼んだという事はそれなりのことがあるんですよね。」
「まあね。今回の要請はノルデンスからだよね?」
よいしょ、と壁から肩を離して部屋の中に進んでいく
「えぇ。敵はメイルセンです」
……やっぱりな
「ノルデンスに気を付けておけ」
俺の言葉にレオの目が細まる
「なんだかひっかかるんだよね―。
ノルデンスには策略家のバルトがいるでしょ?
なのに、応援要請なんてね…こっちが引きずり出されてる気がしてならない。」
レオが一瞬考え込む
「考え過ぎなのでは?」
「俺もできるならそう思いたいよ。ノルデンスがリュ―ベックに寝返るなんて、ややこしいのは嫌いだからね」
できれば、俺だってそれは避けたいよ
リュ―ベック側にはメイルセン
ヴェルト側にはノルデンス
それで均等な力が保たれているおかげで、勝負がまだついてなんだけどね
先程までのやり取りが頭を駆け巡る
────……「シルク、お前は今回の応戦に行くな」
弄っていたチェス駒を元の場所にもどす
「なによ、兄さん。
ノルデンスの応援要請のこと?どうせ兄さんも行くんでしょ?」
頷く
「それなら尚更無理だ。」
「頼むから言うことを聞け。お前が行ったら誰がここを守る?」
「ヴェルトはレオに預けるつもりだよ」
「本当に彼に任せるのか?本当に、彼がお前の補佐を勤めてくれると思うか?」
「確かに彼は俺に対して揺らいだ気持ちがある。
もしそれで俺を裏切っても、あいつはヴェルト国を裏切らない。」
「それでもダメだ。お前はここに残って指示を出せ」
頑なにダメの一点張り