眠れる森
“呪い”の言葉に辺りは動揺する
「それがお前に、なんのメリットがあるんだ?」
深く腰を掛けるもその国の王
辺りは静まる。
騒めいた周囲の者達とは違って、人の上の、その座につく王と側近はわずかな動揺もしない
「呪いのかかった王子を、王子としてここに置いておけばその内、この国の奇抜隊が反乱を起こすのは、…お分かりですよね?」
側近は眉をひそめた。
《奇抜隊》奇妙な外見、力などを持ったものを抹殺するための機関で組まれた隊のこと………
この者は何が言いたい…?
「何が、おっしゃりたい…」
側近は、頭で考えた疑問を口に出した。
その後を追う様に王の言葉が続く。
「お前はあの子が欲しいのか?」
天使が口を吊り上げる。
白い天使にも黒い裏があるようだ
「クス。えぇ、喉から手が出るくらいに。」
「なぜだ?
お前は我が国誇る、国軍クヌートの第一将軍ではないか。」
その言葉に天使は頷く
「この地位、王には感謝じています。
この呪いは王、恐れながらあなたに選択肢をあげないためです。」
お互いの目が細くなる
「……」
「失礼…」
フェンネルが指を鳴らすと、たちまちその場の者達が退場して行く
王と側近を残して
「先程までの無礼お許し下さい。将軍とは言え、こうでもしない限り王と内緒話しが出来なかったのです」
「………辺り一帯に術をかけたのだな?」
「はい。
皆様には、第二王子は産まれなかったと、少々違う現実を見てもらいます。
知るのは、私と王と側近だけ。」
驚きを表にしたのはウィリアムだった
「その理由はなんです…?」
「・・・・約21年後、我らがヴェルト国とリューベック国の戦争が始まります。」
「!!!!!!」