復讐メッセージを送信しました。〜ナナツノノロイ〜
赤ん坊のような声がじょじょに近くなってくる。それと同時に古ぼけたたこのトイレの建物自体が、吐く息が白いほど冷えていたのに気付いた。

本能的に恐怖を感じた七海は、逃げようとしたが、生理痛のような鈍痛を下腹部に感じて、うずくまった。

脂汗が毛穴中からふきだしてくる。痛いとつぶやくことすらできない。

――ペタ、ペタ、ペタ、ペタ。

なにかの音がする。そう、まるで赤ん坊がハイハイしてくるような……。

そう思った瞬間、七海は呼吸ができなくなった。慌てて、首をおさえると、まるで誰かに物凄い力で圧迫されているように、喉元がへこんでいた。

「はっ、はっ、はっ」

七海は炎天下にさらされた犬のように、舌を出して、必死に酸素を取り込もうとする。しかし、口内にはなにも入ってこない。

ドックンドックン。じょじょに血の気を失っていく顔の血管が激しく脈打つ。七海はしばらくのたうちまわったが、ガクリと仰向けになり動かなくなった。だらりと長い舌が伸びている。

――きゃっきゃっ、と喜ぶ声が静まり返ったトイレに響いた。

「うま、まんまぁ」と小さな赤ん坊の甘える声がすると、七海の体が水からあげられた魚のように、ビクッと大きく動いた。



< 220 / 221 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop