カリフォルニア・ガールズなら

おそろしく晴れているのに、まったくと言っていいほど蒸し暑くなく、清々しく気持ちのいい日だった。
木々の生い繁った広い公園には様々な色と形の野鳥が集り、気持ち良さそうに、唄を奏でていた。

僕は広告チラシに載っていた住所のところのビルへ向かった。そこは東京だったし僕のうちからはそんなに遠くはなかった。
電車に乗って10分というところだ。
しかし電車に乗った訳じゃない。ただ例えただけだ。
僕の愛車は黒塗りのフィアット600という車だ。"そこそこ"いい車だ。(だと思う)
何故なら、見るからに悪人みたいな、しかし感じのいい店員に、「すごくいい車です。御目がたかい。」と、マニュアルどおり(おそらくマニュアルどおり)にっこりと笑い、そう誉めてくれたからだ。
しかしどんな車を選んでもそう言うのだろうか?気になるところだ。

ビルの近くの駐車場にフィアット600を止め、30秒くらい歩き、見るからに地震がきたら倒れそうな危なっかしいビルの中へと入った。

そこには、ボタンがなにひとつない、エレベーターしかなかった。
< 6 / 12 >

この作品をシェア

pagetop