カリフォルニア・ガールズなら

ボタンがないエレベーターというのはいささか奇妙に見える。
何階まであるかという表示すらないのだ。
これじゃあどこに辿り着くのかまるでわからない。
最初は、本当にエレベーターなのか、疑ったくらいだ。これは鉄でできた、引き戸の押入れ…?

そんなことを考えて鉄の入口を眺めていると、いきなり入り口が開き、中から、女性が現れた。
その女性は、
体の一つ一つの部分が、適度に調整され、無駄がなく、洗練されたように、艶やかで美しかった。とても太っているのだが、まるで天使のような美しさだ。
そして、全身ピンク色なのだ。
身に付けている、レディーススーツから靴から何まで、ピンクだった。
しかし彼女にはなんの違和感も感じなかった。全身ピンク色の物を身に付けるのは彼女の役目であるようなくらいに自然で何故か安心感を与えてくれた。

彼女は僕の目をそっと覗きこみ、悪意はないというふうに、にっこりと笑って笑顔を見せてくれた。
僕もにっこりと微笑んで、お辞儀した。
< 7 / 12 >

この作品をシェア

pagetop