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第2章/
カツラ 性欲 失踪
僕は彼女にエレベーターに乗せてもらい、
「これに乗ればいけるわよ。また後でね。」
と言って彼女はドーナッツを買いにいった。
僕はありがとうとお礼をし、そこでわかれた。
まず、困った点は、エレベーターの中にまで、ボタンが一つもないばかりか、何階かを示す表示もない。
そしてもうひとつは、何階かを聞き忘れた。
なにより"脱出"の方法もわからない。
やれやれ…。
僕は今エレベーターを乗っているわけだか、奇妙なことに動いているのかわからない。
おそらく上昇しているのだろうが、あまりにも速度が遅いせいで、方向の感覚というものが、消滅してしまっている。
あるいはそれは、上昇していたのかもしれないし、あるいはそれは、下降していたのかもしれない。地球を一周して戻ってきたのかもしれない。正確なことはわからない。
そんな事を考えていると、あっさりと、ドアが開き、背の小さい老人が待ちかまえていた。