君がいた風景
入口はレンガ造りの洒落た店で、中に入ると奥が深くて思ったより広い。


バーテンダーのいる長いカウンター席といくつかのテーブル席。


床はブラウンのタイルで敷き詰められている。


中の雰囲気はかなりの春人好みで、すぐに気に入った。


「青山さん、どうっすか?いいでしょ、ここ」

「ああ…、気に入ったよ」

「良かったぁ〜!絶対気に入ってくれると思ったんすよ!何飲みます?」


哲也は相変わらずの爽やかな笑顔で言うと、カウンター席に座った。


「じゃぁ、スッキリめのカクテルを…お任せします」

そう言うと、かしこまりましたと言ってバーテンダーは酒を作り始めた。


「カクテルっすか?青山さん意外とかわいいんすね!」

「まぁ、俺あんまり強いの飲めないんだよね」

しばらくすると、2人の前にブルーとグリーンのグラデーションが綺麗なカクテルと、ウイスキーが差し出された。


「じゃ、お疲れ様です」

カンッ。

「お疲れ様」

酒は思ったよりもうまかった。

雰囲気のいい店でうまい酒。
春人は日ごろの疲れやストレスがすっと抜けていくのが分かった。


「山下君、ありがとう。だいぶ癒されるよここ」

「本当ですか?!良かったー!またお誘いしますね!」

哲也が爽やかに答えると、突然店内が静まり出した。


「…きたきた」


哲也はワクワクした表情で店の隅っこにあるステージの方を向いた。



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