君がいた風景
「真奈美さ…っ」

「待って!!!」


春人が呼び止めようとすると、横から拓磨が出てきた。


「拓磨…?」


「拓磨くん…」


「これ…」


拓磨は真奈美にどこかで摘んできた小さな花束を差し出した。


春人には何がなんだかわからなかった。


「もう…もう、いいの!拓磨くんも…もう忘れて!」


「でも!!」


辛そうに叫ぶ真奈美。
真剣に叫ぶ拓磨。


春人はますます状況がわからない。


「もう、どいてよ!!」


我慢しきれなくなった真奈美は、拓磨までも突き飛ばして走り出した。


その瞬間。

ザバーン!!!…


川に水しぶきがあがった。


真奈美は肩をビクっとさせて走り出した足を止めた。


「拓磨ー!!」


川に落ちた拓磨を助けようと春人は走った。


「拓磨ー!!」


拓磨は激流に流されていく。


真奈美は何もできず、しゃがみこんでしまった。

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