君がいた風景
旅館まで歩く道のりも6年前のまま何も変わっていない。


川の側までくると、少年と少女がいい雰囲気で川を見つめていた。


少年は野球のユニフォーム、少女は学校のジャージらしきものを着ている。


「野球少年とそのマネージャーって感じかな…」


春人は勝手な想像をしてニヤつきながら、そんな青春を懐かしく感じた。


旅館に着くと、懐かしい姿が出迎えてくれた。


「お久しぶりです、女将さん…」


「春人くん…よくいらっしゃいました!まぁ立派になられて!」


「そんな…ちょっと歳とっただけですよ」


「そんなことありませんよ、すっかり大人の男性になられて…」


女将はまるで息子に会ったかのように嬉しそうだった。


「さぁさ、お部屋へご案内します…」


女将に連れられて部屋の前までくると、春人の足が止まった。


「女将さん…ここ…」


「ええ、覚えてらしたかしら?」


女将に案内されたその部屋は、6年前と同じ部屋だった。


「お気遣いありがとうございます」


「いいえ、ごゆっくり…では失礼しますね」


そう言って女将は部屋を出て行った。
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