君がいた風景
懐かしい部屋、懐かしい匂い、懐かしい景色…。


春人はそれだけで胸がいっぱいだった。


ガチャッ!!!
バタバタバタ!!!


「!?」


外の景色を見て和んでいると、急に誰かが部屋に駆け込んできた。


春人は慌てて振り返ると、そこには野球のユニフォームを着た少年が立っていた。


「さっきの…野球少年…」


野球少年は春人の顔を見たとたん、目にじわじわと涙を浮かべた。


「えっと…」


戸惑う春人にかまわず、少年はいきなり春人に抱き着いた。


「えっ?!ちょっ…」


「会いたかったよ!!春人!!会いたかった!!」


「えっ?!」


少年は体を離すと、見覚えのある笑顔を浮かべた。


「た、拓…磨…?」


「そうだよ!!オレだよ!!」


あまりにも成長しすぎた拓磨を目の前に、春人は戸惑いを隠せなかった。


「ホントに拓磨なのか?」


「そうだよ!何言ってるんだよ!」


拓磨は唖然とした春人を見て笑っていた。


その笑顔は間違いなく6年前に会っていた拓磨の笑顔だった。
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