君がいた風景
次の日、春人はどうしてもやっておきたいことがあった。


6年前はどうしてもできなかったことを…。


「春人、どこか行くのか?」


春人が出かける準備をしていると、拓磨が目を覚まして声をかけた。


昨晩は春人の部屋に泊まっていたのだ。


「ああ…、墓参りに行こうと思って…」


「墓参り?」


「うん…、拓磨も行くか?」


「墓参りって…ハルくんの?」


「あ…、まぁ…それもそうだけど…」


「他に誰かいるのか…?」


拓磨は不思議そうに春人を見つめた。


「えっ、誰って…お前…」


「ん?」


「真奈美さんに決まってるだろ…」


「え………」


6年前はその事実が受け入れられず、何もしないまま帰ったことが、春人の中で心残りだった。


「春人…もしかして…知らないのか…?」


拓磨は険しい顔で言った。


「知らないって…何を…」





「ハルくんの母さんは…生きてる。」

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