タナトスの光
三十代に突入して。
僕は就職活動をするのをあきらめた。

どうせまた、同じことの繰り返しだ。

就職が決まって。
両親が大げさに喜んで。

でも長くは続かなくて。
両親はいつものように落胆をする。

人材を育てようと。
雇ってくれた会社にも、申し訳なくて仕方がない。

それならば一層、最初からなにもしないほうがいい。

僕だって。
両親だって。
会社だって。
無駄なパワーを浪費しなくても済むじゃないか。

余分なパワーを使って、疲れなくても済むじゃないか。

こうして僕は、流れに歯向かうことをやめて。心を閉ざし、扉を閉ざし、自室からあまり外へ出なくなった。
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