ブレイク
「シンさん、立派になってたね。」

「ああ。カッコ良かったよな。」

「うん。」

縫い物をしていた手を止め、リンが言った。

「…シンさん、スラムを出た後、何してたんだろう…?」

「そうだな…。

明日、また来るって言ってたろ?
その時に話してくれるさ。」

「そうだね。」

リンは縫い物を再開した。


その夜、俺とリンはいつものように並んで眠った。

多分、俺達だけじゃなく、このスラムに住む全ての人達が、いつもと同じような朝が来ると思っていただろう…―。

だが、平和な朝なんて、来る事はなかったんだ…―。


< 21 / 36 >

この作品をシェア

pagetop