ブレイク
頬を涙が伝った。

「分かったか?
ハヤト今は、とにかく行くんだ。」

シンはリンの側に膝をつくと、リンの瞳を閉じた。

そのままゆっくりと寝かせると、銃を握り直した。

「行くぞ!
ついて来い!
全力で走るんだ!!」

「リン、必ず来るからな。」

リンにそう告げると、俺はシンについて走り出した。

スラムは悲鳴に包まれていた。

逃げ惑う人々…。

一体ここで何が起こっているんだ?
現実なのか…?

軍服を着た奴らは、逃げ惑う人々にためらうことなく銃を向ける。

「走れハヤト!
走るんだ!!」

「こいつら何なんだよっ!!」

「いいから走れ!!」

スラムは逃げ惑う人々でパニックになっていた。

人々にぶつかりながらも必死になって走っていたが、その間にも絶え間なく銃声が響いていた。

目の前で人々が次々に倒れていく…―。

まさに惨状だった。

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