みどりちゃんの初恋
「ねえねえ、あのね? ちぃとタツキさん、仲直りし――」
ワンワンワンワンッ!
「――ぎゃっ!!」
びょんっといきおい良くヒロっちの背中に飛び乗ったあたしは、動物の赤ちゃんみたいにしがみついた。
「ただの犬だろ。ちび」
「ふぇーんっ。だってえ!」
「うるさい。 ――仕方ない。乗ってろ」
あたしを支えるように手を後ろに回してくれたヒロっち。
温かいヒロっちの背中は“男”を感じるほど、広くて平べったい。それに、剣道に必要な筋肉しかついていない。
こうやってあたしを軽がると、仕方ないなんて言いながらもおんぶしてくれるところも、好き。
……ねえ、ヒロっち。ヒロっちはあたしだけに優しいのかな?
もし、そうだとしたらあたし期待しちゃうんだけどなあ……。
程よい揺れの中で「ヒロっちは」と耳を背中にくっつけながら口を開いた。
「どうして迎えに来てくれたの?」
ただの“ちび”なんだろうけど、早くあたしに気付いてよ……。