みどりちゃんの初恋
「いつからこっちに帰ってきたの?」
「ちょうど中学に上がる時かな?みーちゃんは東中だったけど、僕は北中だったんだ」
北中ってことはヒロっちとハヤシっちと一緒なのかな?
……そういえば、ヒロっち遅いなあ。何かあったのかなあ。
あれ?だいたい、総くんに呼ばれたんだよね?ヒロっちは。じゃあ、もしかしてヒロっちは総くんを探してるのかな?
ヒロっちの鞄と柱時計の往復をしていれば、不意に総くんがあたしを抱きしめた。
「あわっ?! そ、そー君? どうしたの?」
ちょうどあたしの肩に総くんのほっぺが乗っかってるみたいで、温かい息が耳たぶを掠める。
変にドキドキするあたしは、ただ総くんに優しく抱きしめられるしかない。
「……みーちゃん」
「な、に?」
「どうして離してって言わないの?」
「えっ……だって……」
ぎゅうっとさっきより強く抱きしめる総くん。
「ばかだなあ……みーちゃんは」
「わ、わかってるもんっ」
「そうじゃなくて」
すっと腕の力を緩めた総くんは、あたしと向き合った状態で悲しそうに微笑み、
「諦められなくなっちゃうよ」
と再びあたしを腕の中に閉じ込めた。
えっ? ちょっ、意味が分かんな――
「僕、みーちゃんが好き」