みどりちゃんの初恋

 総くんの腕の中はあったかくて。でも、突然のことに固まって動けなくなってしまったあたしは、瞬きするのでやっと。

 何で? が頭の中を駆け巡ってるみたいだけど、脳ミソすかすかのあたしにとって、ただ一週して戻ってきただけ。

「やっぱかわいーな」

 小さく呟いた総くんは、なぜかあたしの両腕を固定し、そしてなぜか顔を近付ける。

「ちょっ! なっ! そ、そーくん?!」

「うるさいよー」

 いやいや!うるさくなるのも当然だと思うんですけどっ。ていうか、今が一番の騒ぎ時だと思いますぅっ!!

「そーくん、おかしいって! 諦められなくなっちゃうよ、だなんて今日再会したばっかりだし?意味分かんないし? それに顔近いしぃぃいいいっ」

 表情すら変わらないそーくんはいきなりパッと手を離した。

「みーちゃん気付いてたの?」

 憎らしいのに、にっと歯を見せた笑顔がなんだか憎めない。

「もうっ。からかわないでよお」

「ごめんごめん」

 さっきまで気付かなかったのがおかしいくらい、総くんってかっこいい。

 なんだか恥ずかしくなってくるのは気のせいじゃない。

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