みどりちゃんの初恋

 一瞬、何を言われたのか分からなくて、でも分かってしまって、分かりたくなくて。

 ぐるぐると混ざるあたしの気持ちは張り裂けそうに、痛い。

 どうせならもっとはっきり言ってくれればいいのに。それをしないヒロっちはずるいよ。

「……笠井?」

 ぎょっとしたヒロっちは目を見開いてから、眉を寄せた。

 ボロボロ泣くくらい辛いんだから。あたしの気持ち、分かってほしいなんて思わないけどっ!でもっ……。

「良かったな、ってなに……」

「は?」

「迷惑なら迷惑。ウザイならウザイ。そうはっきり言ってよ!どうして、そう遠回しに言うのっ?」

 何度も何度も手の甲で頬を擦るあたしの目は真っ赤に違いない。それでも、今言わなかったらきっともう言えない気がして。

「あたしのことすきじゃないなら一緒に帰ったりしないで! 迎えになんて来ないで! おんぶもしないでぇっ」

 真っ赤な目でヒロっちを見つめるあたしは駄々をこねる子どもみたい。

「ヒロっちはあたしのことただのバカちびくらいにしか思ってないってことだって分かってる! ――だけどっ」

 それでもお願い。言わせてほしいの。

「すきなのっ。 ヒロっちのことがっ!」

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