みどりちゃんの初恋

 “付き合ってないんでしょう?”総くんの言葉がぐるぐると頭の中を駆け巡る。

 ふっとほんの一瞬ヒロっちの腕の力が緩み、鋭くも優しく揺れる瞳に見上げるあたしが映った。

「……ヒロっち、あた――」

 再びぎゅっとされたあたしはきゅっとシャツを握る。

「どうして何も言わないの?やっぱ付き合ってないからでしょ?ならみーちゃん好きなようにしたって良い――」

「――わけないだろ。これは俺のものだ。カゲの好きなようにはさせない」

 強く真っすぐな凛とした声が生徒会室に響いた。

 あたしはヒロっちのもの。そう思うだけで口元が緩むくらい嬉しくて嬉しくて。

「……っ。 ヒロっちぃーっ」

 わあんと泣くあたしに「うるさい」と言いながらもぽんぽんと頭を撫でてくれる。

「カゲ。手を出すなよ」

 横目で総くんを睨んだ後、あたしを見て珍しくふわりと優しく柔らかく微笑んだ――え?

「――っ?!」

 熱い。唇が熱い。それにヒロっちの顔がものすごく近い。

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