みどりちゃんの初恋
「はは。キス見せ付けるなんて独占欲の塊ぃ。っていうか、ちょっとみーちゃんをくすぐったくらいで飛んで来ちゃうんだもんね。 やっぱベタ惚れ? まあ、やっと見つけ――」
「カゲ!!!!」
ちゅうの余韻はどこへやら。さっと総くんに近寄ったヒロっちは「お前なあ」と呆れている様子。
「俺を引っ掛けたのか」
「しょうがないじゃん。あーんなに可愛いちびっ子を細い糸でギリギリ結んでたんだもん。別にそれを切ってあげても良かったんだけどね〜。 糸が太くなってからの方が切りがいがあるでしょ?」
にこりと楽しそうに笑う総くんはそのまま首をかしげた。
「笠井」あたしに背中を向けたままのヒロっちは「くすぐられただけか?」と振り向いて頭を撫でる。
「総くんあたしを後ろから抱きしめてくすぐるんだもんっ」
「その様子をヒロに電話したんだよ。僕はみーちゃんのためにやったんだから、ヒロに怒られるなんてやだー」
薄目でヒロっちを見て「今日部活来ないでね」とヒロっちのほっぺたをびょーんと引っ張り、何故かあたしの頬に唇を押しつけ出ていった。