みどりちゃんの初恋
今まで恋愛してこなかった自分も悪いとは思う。だけど、今まで告白された時には必ず『好きです。付き合ってください』と言われてきた。
やっぱり、言われてないってことは付き合ってないんだよねえ?
「……なあ、笠井」
頭の上から落ちてきた声は幾分柔らかい気がする。
ヒロっちの胸を押していた腕の力が弱まったのを感じたのか、あっさりとヒロっちの腕の中に閉じ込められたあたしはヒロっちの胸に顔を埋めた。
「俺は付き合ってもいないやつにこういうことはしない。……言ってる意味分かるか?」
「え? ヒロっ――」
「――お・は・よおーっ! ってええっ?!なに、抱きついちゃってんの? 二人ってええ? 付き合ってたのおーっ?!」
ガチャっと開いたドアからは元気はつらつでお馴染み黄色いドリンクのCMが来そうなほど、元気なハヤシっち。
その後ろにはちぃもいる。
「ヒロっちホントに?!」
「ああ。やっぱりお前はアホだ」
「あ、アホじゃないもんっ!!」
「うるさい」
ぎゅーっとヒロっちの背中に手を回して抱きつけば「単純」と言って頭を撫でてくれる。