みどりちゃんの初恋
「てゆーかあ、シカトしないでよ! だいたいさ、いつからなの?どっちから?どこまでいったの?俺だけ一人で寂しいじゃんかよおーっ!!」
ぐいっとあたしとヒロっちを引き剥がしたハヤシっちは間に入り肩をがっくりと落とした。
「あら、キレイなお姉さんに恋したんじゃなかったの?」
すでに資料を広げていたちぃは顔も上げずにハヤシっちに問い掛けた。
「ホント、たっちゃんって口軽いよねえ。――ていうか、俺よりこの二人でしょ、気になるのは」
「そうね。 で、みどりー?どうだったの?タクの彼女はみどりだった?」
「そうみたいっ!」
にっと笑ったあたしを見てさらににこりと微笑んだちぃは「はい、これ」と数枚のプリントを差しだし、
「雄太郎と一緒に印刷。全校生徒分に職員分、それに予備ね。 よろしくー」
再び手元に視線を落とし、手を振った。
何ていうのかな?効果音をつけるなら、しっしっみたいな。文句を言おうと思っても、すでにちぃはヒロっちと向かい合ってミニ会議中。
こんにゃろ。ヤキモチやくぞ!タツキさんに言っちゃうぞ!
口を尖らせたあたしは仕方なく諦めて、ハヤシっちと一緒に職員室の隣にある印刷室に向かった。