みどりちゃんの初恋

 三年理数科頭脳派のヒロっちがこれまた珍しいコンタクト姿に半袖短パン。

 タオルを首にかけてるあたりとか、お疲れと言い合う感じの爽やかにちょこっと笑った感じとか。

「……かっこい――」

「おい。気持ち悪い」

「きっ気持ち悪いぃぃいいいっ?! 彼女に向かってそれはないでし――」

「みーちゃあんっ!!!!!!」

 ちょ、ちょ、ちょっ! 総くんっ?!

「離してってばっ! せっかくヒロっちとラブラブちゅっちゅっのお時間なんだからあ!」

 ぐーっと総くんの胸を押して逃げ出したあたしはヒロっちの大きな背中に隠れた。

「笠井呼ばれてるぞ」

「……えー、うん……」

 ちょこちょこっとヒロっちの正面に移動したあたしは、半袖の裾を握る。

 ラブラブちゅっちゅっのお時間の件まさかのスルーなんだもん。みどりちゃん、寂し――

「頑張ってこい。……応援してやるから」

 ぽんぽんと頭の上で跳ねる大きな手のひら。

 それだけで頑張れそう。ヒロっちが応援してくれるってだけで幸せだもんっ。

「約束だよ? いってきまーすっ!!!!」

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