みどりちゃんの初恋
ドリブルをしながら二人を交わしスリーポイントシュート。
ネットを揺らしたボールは真っ直ぐ落ちる。それを素早く拾った二年生はすぐにパスを回す。
しかし試合終了のブザーが鳴った。
『ありがとうございましたっ』
両チーム声を合わせて挨拶を済ませ、ちぃの所に飛んで帰れば「かっこよかったわよ」と悩殺スマイル。
ほらほら!周りの男の子から魂抜けはじめちゃってるって!
「ホントにっ? あたし、頑張ったんだから――ってあれ? ヒロっちは?」
「あそこで捕まってるわよ」
ちぃの指差した先にはさっきのサトミちゃんと話すヒロっち。
知り合いなのかな?それにしてもなんだかヒロっち楽しそうなんですけど。
「彼女をほっといて何やってるんだろうねー、ヒロは」
「あ、総くん」
「森 里美(もりさとみ)僕とヒロの中学からの後輩。英明高校期待の剣道部のプリンセス。 プリンセスなんて見た目だけだよね、あの子の場合」
ちぃには及ばないけど確かに綺麗な顔立ちだと思う。ヒロっちと話す姿もなんだか――
「笑いたくなるくらいみどりと真逆ね」