みどりちゃんの初恋
ちぃからあたしに視線を移した里美ちゃんは「笠井先輩ちょっといいですか?」と無邪気な笑みを零す。
一瞬『あんたには絶対負けないんだから』が頭を過った。
さっきはあんなこと言ってすみませんでした。つい、夢中になっちゃって……って言いに来てくれたんだよね?
ちぃが思ってるようなお腹真っ黒な女の子に見えないもん。
「なあに? 里美ちゃん?」
ドアに向かって歩き出したあたしに里美ちゃんは安堵のご様子。
「ちょっと相談したいことがあるんですけど……あの……」
「ん? ――あ。そうだよね。ここじゃ相談しにくいもんね。 ちぃ先に体育館に戻っててー」
すみません、と謝る里美ちゃんはあたしの前を悠然と歩く。
……あ。なんか良い匂い。里美ちゃんの香水かな?それとも制汗剤かなあ。 それにしても手足長ーい。あたしの倍くらいはあるよね。だって、あたし若干小走りなんだもん。
里美ちゃんに連れられて生徒会室を出て左に曲がった後、直進右折階段階段左折直進……そして右折。
――ていうか、どこ行くの?