みどりちゃんの初恋
広い広い英明の校舎はまるで迷路。それをすたすたと何の躊躇いもなく曲がったりする里美ちゃんはなぜか無言。
どの校舎にいるのかな……あ、ここ一階なんだあ……ん?あんなところにベンチがあるっ。今度、ヒロっちをお弁当に誘っ――ても断られるだけだから、ちぃとかあ……あっ!ハヤシっちと総くんにも教えてあげよっ。
でも一番最初にヒロっちに教えてあげようかな。
ああいう静かな所で読書した方が良いと思うし。その横顔を見てにこにこするのもいいよねー。
手を繋いでお家帰ったり、デートしたり。
これからヒロっちと色々たくさんのことしたいな。……なあんて思ってるのはあたしだけなんだろうけど。
「……い。かーさーいー先輩っ」
「ふえ?! あ! ごめんね」
大丈夫です、とにっこりが返ってくると思ってた。
ううん、返ってきたの。にっこりだけ。それも、目が全然笑ってない。
「さ、里美ちゃ――」
「馴れ馴れしく呼ばないで」
バンッ!とあたしの肩を掴み空き教室の壁にあたしを叩きつけた。
さらにあたしの顔の脇の壁に握りこぶしを打ち付けた里美ちゃんはあたしを見お――
「別れて」