みどりちゃんの初恋

 えっ……わか、別れてって……え?

 誰と?って聞きたい。でも聞いたところで、もっと睨まれるような気がする。

 ――けど、これだけは言える。

「いや! 別れないっ」

 ギッとあたしよりたぶん10センチ以上上にある小顔を見上げる。

「……だったら、なにがなんでも別れさせてやる。 私の方が卓也さんのこと好きなんだから。 ――絶対あんたには負けない」

 もう一度壁を殴り、一睨みしたあと右に曲がって見えなくなった。

 ……………。

 ――えっ? 宣戦布告? ライバル?!

 ていうか、生徒会室に来た時とか、ヒロっちと話してる時と顔つきが全然違うんですけどーっ。

 それに……里美ちゃんも好きなんだ……ヒロっちのこと。

 壁に背中を預けてその場に座ったあたしは窓の外に広がるあおいあおい空を見上げた。

 あたしだって好きだもん。

 誰にも負けないくらい好きで大好きで離れたくないんだもん。

 とりあえず、ヒロっちに抱きついていい子いい子してもらわないと、力が出ないからヒロっちの所に行きたい……んだけど。

 ここ、どこぉおおーっ?!!!!!



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