みどりちゃんの初恋


 ◇◇◇


「まったく、何なんだ」

「……ごめんなさい」

 必死に謝るあたしは約30分前、自分の通う高校で迷子になりました。そして、半べそなあたしはヒロっちに電話。

 うん。良かったあー。文明の進化がポッケの中に入ってて。

「泣きながら電話するな。迷惑」

「だってちぃ電話に出てくれなかったんだもんー」

「……まあ、正直に『校内で迷子になりました。助けて』って言ったのは許す。 けどなあ! どうして電話で言ってた場所にいなかったんだっ!!」

「ヒロっち来るの遅いから迷ったんだと思ったんだもんっ。それにだーれもいないから怖かったんだからね! だから、ただ、ちょっとだけその辺うろうろしてたら……」

「また迷ったんだろ」

「ハイ、ソウデス」

 生徒会室でガミガミ怒られるあたしは「ごめんなさい」と小さく呟いた。

 はあ、と上の方でため息が聞こえ恐る恐る見上げれば、腕を組んであたしを見下ろすヒロっちと目がかちりと合った……のはいいんだけど。

 な、なんて言うのかな?決して好きな子に向けるような目じゃないって! それはっ!

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