みどりちゃんの初恋

 がつがつと目の前に広がるご馳走を次々と口の中へ運ぶ。

 もうっ!! あたしのおっぱいがちっちゃいならちっちゃいってはっきり言えば良いのにっ。遠回しに言いやがって……ちきしょーっ!

「もっとゆっくり食べろ」

 目の前で静かに食べるヒロっちに言われて、ちらっと見てからがーっと食べる。

「タクの言う通りよ。そんなに急いで食べたら、美味しいものも分からないじゃない」

「ちぃのご飯は急いで食べても美味しいもんっ」

 何よ、何よ、何よおーっ!! しらっとしやがって!結構傷ついてるんだからなっ。

「ごちそうさま! ちぃ! お風呂借ります!」

 だだだだ、とお皿をキッチンに持っていき、再びだだだだ、と浴室に向かった。

 服を脱ぎ散らかして、お風呂場に侵入。頭から温めのシャワーを浴びる。頭も体も先に全部洗ってから、湯船にジャボン。

 鼻まで浸かってぶくぶくしていたら、曇りガラスの向こうから、

「やっぱり、脱ぎ散らかしてる。 女の子……ましてや彼氏がいるんだから、脱いだら畳みなさいっていつも言ってるじゃない。 もう、みどりったら」

 呆れたようなちぃの声がお風呂場に響いた。

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