みどりちゃんの初恋
ため息と服を洗濯機に投げ込むような音が聞こえる。けど、ぶくぶくをし続けてる。
「仲直りしたんじゃなかったの?」
ぶくぶくぶくぶく。
「またケンカ?」
ぶくぶくぶくぶく。
「ああ見えて、タクだって意外と気にして、傷つくのよ?」
ぶくぶくぶくぶく。
「何よ。エッチがそんなに嫌なの?」
ぶくっぶぶぶーっ!!!!
「えほっ……げほげほっ!!!!」
「ふーん。そう。 タクに伝えておくわね」
「ちぃ! ちがっ!」
バシャン!立ち上がった音が聞こえたのか「分かってるわよ」と曇りガラスのドアを開けた。
慌てて再び湯船に浸かれば、一応女の子らしいのね、と軽く鼻で笑う。
「今日エッチしないの?」
「しない!」
「二人きりのいいチャンスなのに?」
「しない!」
「私とタツキが気になるなら、私たち耳栓して寝るわよ?」
「それでもしないもん!」
ぷいっとそっぽを向いたあたしは、湯船に視線を落とした。
ゆらゆら揺れるお湯の下にあるそれは誰がどう見ても小学生レベル。
その証拠に、あたし、まだスポブラでもギリギリ生活できるもん。 ……別に、自慢じゃないけど。