みどりちゃんの初恋
卓也がどきりとしたのは言うまでもない。が、目がとろんとしているのも加えて、いつもより、というかみどりを初めて色っぽいと思った。
仕方ないな、を微笑みに変えた卓也はみどりの元へ行き、ひょいっと軽々と持ち上げる。
「ヒロっち……」
くんっと下から引っ張るみどりの瞳はあくびによって涙目。
「キス、して」
すっと伸びてきた小さな手のひらは男とは思えないつるつるの肌に触れる。
「ダメだ」
それを優しく握った卓也は、もっと優しくみどりをベッドに乗せ、自分もその隣に横になり向き合った。
「……どうして?」
悲しそうに眉をハの字にするみどりから、卓也はすっと視線を外した。
まずい。さすがにまずい。胸がなくたって、子どもっぽくたって、目の前にいるのは好きな女。
キス、しても大丈夫か?俺。いや、無理だろ……それだけで寝れる自信がない。あー、どうすればいいんだ。
今までで一番、脳内で焦っている卓也はギリギリ平然を装ってはいるものの。卓也だって、男。
わがまま言ってごめんね、と言いかけたみどりの小さな唇を奪った。