THE DEATH
全身を覆う黒い甲冑に、背負う大鎌は死神を思わせた。

「ねぇん兄貴?ストークは連れて来なくて良かったの?」

細身の影が問いかける。

「……出航の制限がかかる前にタイリス入りしているはずだ、まずはやつに状況を聞こう」

兄貴と呼ばれて応じたのは大柄な男。
筋肉もそうだが、骨格も標準の大きさではない…。

「カ、カノーさんっ!そろそろ降ろして下さいよぉ~…」

ボーイソプラノ。なんともせつなげにわめいたのは…

「あらんカロちゃあん?お姉さんのココは気持ち良いでしょぉ~?」

人影は2つだったが、もう一人。

グラマーな女性の胸の谷間に少年が居た。
ジタバタと抵抗はするものの、女の腕力は余程強いのかビクともしない。

「なにがお姉さんですか!僕はカノーさんより年上ですよ!」


一瞬身体を光らせ、魔法の力で女の手から抜け出した。

「もぉ、連れないコねん」

地に足を付けてみると身長は女の腰から下、大男からみれば膝から下の可愛い少年だった。

カロちゃんと呼ばれていたのは、カロン。

幼いのでは無い、歳をとれど姿に変化の少ない種族なのだ。

大男、美女、子供。

並んでいたとして親子にも見えない…。

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