THE DEATH
「…着いたな」
3人が船から降りると同時に一人の男が出迎えた。
タイリスの守衛である。
タイリス共和国…領土こそ狭い国だが、鉱山による富と、発明、技術力によって栄える国である。
その分魔導に関する知識は低いと言えたが、魔力を秘める鉱物からエネルギーを抽出する技術は、様々な発明を生んだ。
守衛に簡単な国の状況を聞き、お互い一礼をして別れる。
「…要人は大統領区に避難している、か。感染の酷い鉱山区は完全に隔離されているというのにな…」
巨体は軽く手を額に当て唸る。
この国の民が不憫でならない、そんな感じだ。
仕えるべき主に恵まれない、その窮屈さを男は知っていた。