THE DEATH

夢の終わりに

空色のはずの青年の瞳が――黒い。


黒死病の末期症状―。

「――…なぜ言わなかった」

「ごめんな、兄貴、でも、務めは果たすから」

か弱く微笑む。

「なっ、ストークさんを置いて行くなんて!嫌です、僕は残ります!」

「…もう立ってるのも辛いんだ…カノー、頼む」

「……行くわよ、カロちゃん」

カノーがカロンをひょいと脇にだき抱えた。
「やだっ、ストークさんっいやだあっ」

ボロボロとその身体に似つかない大粒の涙をながし、ジタバタと暴れる。
カノーの腕は揺るがない。
「さ…っき、さっき、約束したばっかりなのにっ…!」

「急げ、空間がすでに崩れかかっている!」
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