白いジャージ2 ~先生と青い空~
先生の過去
夕方になると5月らしい涼しい風が私の頬をかすめる。
「今日の晩飯ステーキがいいなぁ!」
先生はもう仰向けになり、空を眺めていた。
「ステーキは絶対ないよ!ゴーヤだよ!」
ゴーヤの苦味が苦手な先生は子供っぽく見えた。
昨夜の晩御飯に出たゴーヤチャンプルを、
無理して食べる顔が何とも言えず、かわいかった。
「ねぇ、先生の初キスっていつ?」
実はずっと気になっていた。
私はおバカさん。
聞けば、想像しちゃって辛くなるのに、知りたいんだ。
どんな子供だったのか、
どんな風に恋をしてきたのか…
さすがに、娘さんの母親である前の彼女とのことは
聞く勇気がないけれど。
「幼稚園かな…」
「ええーーー!!マセガキ!!先生昔からエロかったんだね。」
目を閉じた先生は、昔を思い出すように
穏やかに微笑んでいた。
私の知らない過去。
私のいない過去。