白いジャージ2 ~先生と青い空~

忘れられない夕日




「直!始まるぞ!!」



片手を空に向けた先生が振り向く。



空は一秒一秒、微妙に姿を変える。




最後の坂道を下ると、そこが有名な桟橋。



ここが…


夕日の綺麗に見える場所。




海に向かって細く長く伸びる桟橋。


そこには、夕日を待ちわびた旅人達が集まっていた。




朝からほとんど人に会うことがなかったから、

この島にこんなにも人がいたんだと驚いた。




桟橋のブロックに足をブラブラさせて、海を眺める子供。

待ちくたびれて眠ってしまった赤ちゃん。


手を握り合い、肩を寄せ合うカップル。




みんなみんな、とてもいい顔をしていた。



広くて綺麗な海の向こう。



とてもとても遠いはずなのに

すぐそこにあって、掴めそうな太陽。





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