白いジャージ2 ~先生と青い空~
聞いているようで聞いていない会話。
先生の笑い声だけが耳の奥に残って、私は一人遠い場所にいる気がした。
キキキキキーーー…
何の鳴き声なのかと最初は不思議だった音。
ヤモリの鳴き声だと教えてもらってからは、その音が聞こえるたびにビクっとした。
壁に這うヤモリがこっちを見ているようでドキドキした。
「ヤモリにびびってんのかぁ?直。大丈夫だって。飛んでこないから。」
先生が、ビクっとした私の肩に手を回す。
酔っているせいか、いつもより強引だった。
「かわいいね~、彼女。私にもこんな頃があったのかな。」
雅子さんの『かわいい』が、素直に受け止められない。
バカにされているような、『子供だ』って言われているような気分になって、また落ち込んだ。