白いジャージ2 ~先生と青い空~
先生が言う。
「直、あそこに浮かんでるゴミ、拾ってきて。」
25メートル程先に見えた空き缶を先生が指差した。
その時、なんだか胸がドキドキして高校2年の夏を思い出した。
石拾いゲームで、先生と一緒にプールの底の石を拾った。
水の中で先生が頭を撫でてくれたんだ。
思い出がいくら増えても、色褪せることはない。
私は、ゴミに向かって必死に足を動かした。
泳ぎの苦手な私が25メートル泳げるようになったのは
先生のおかげ。
今まで辛かったプールの授業も、先生が教えてくれるようになってから
楽しみで仕方がなかった。
ゴミを拾った私は遠くにいる先生に向かって叫ぶ。
「せんせーー!拾ったよ!」
先生はゴーグルを外し、眩しそうに私を見て手を振った。
「お~!戻ってこい!」
私はまた必死で泳ぐ。
と、言っても浮き輪付きなんだけど。
私は、飼い主の投げたフリスビーを拾いに行く犬のよう。
褒められたくて、空き缶を先生に渡す。
先生は、私の全開のおでこにキスをした。
「しょっぱいな、お前のおでこ。」