白いジャージ2 ~先生と青い空~
その後、温まった体で浴衣に着替え、気分良く部屋へと戻る。
鍵を開けるまで、何もなかった。
部屋の鍵を開け、一歩中に入り、お父さんの様子がおかしくなった。
様子がおかしいお父さんに気付き、お母さんが声をかけた。
「あなた、どうしたの?」
お父さんは一点を見つめたまま、動かずに答えた。
「どうして、ここにいるんだろう…」
ベッドの端に座ったお父さんは天井を見上げた。
「何しにここに来た?」
「ここの住所は?」
冗談かと思う程、おかしな質問を繰り返す。
お母さんは笑って答えていた。
まさか、記憶を失っているなんて思ってもみなかった。
頭を抱えたままのお父さんにお母さんは聞いた。
「今、直は何してる?」
右手でおでこを触りながら、少し困った顔をしたお父さんが答えた。
「高校生だろ?」