白いジャージ2 ~先生と青い空~
大丈夫。
絶対に思い出すよ。
「直、ここどこ?頭がふわふわしていて、よくわからない。直はどうしてここにいる?」
記憶を失っただけじゃなく、今現在の記憶する能力も全く働かなくなっているようだ。
さっき話した内容を書き込むことができないのだろう。
「大丈夫、お父さんもう眠っていいよ。」
私はお父さんの手を握った。
大人になってから、自分からお父さんの手を握るなんて初めてだった。
ひんやりとした大きな手。
昔いつも繋いでいた手も、ずいぶんしわが増え、肉も減っていた。
この手で頑張ってきたんだね。
お父さん。
疲れちゃったんだね。
ちょっと休憩しようね。