白いジャージ2 ~先生と青い空~


ほとんど眠っていないのにあくびも出ない。



相変わらず吐き気と息苦しさが続く。




病院へ向かう車内、なぜか3人ともテンションが高かった。




現実逃避するように

なぜか楽しい話ばかりした。





コンビニで買った3つのおにぎりは、3人とも喉を通らなかった。


無理矢理流し込んだせいで、味もわからない。




病院へ到着した。


ゆっくりと廊下を歩く。



カーテンを開けるのが怖かった。

お父さんはどんな気持ちで一晩一人で過ごしたんだろう。



何かがおかしいことには気付いているはず。



ここがどこなのか

不安にならなかったかな…




入院していたのは、唯一ベッドの空いていた高齢者用の病棟だった。


その部屋はトイレの匂いがした。

たんが絡まって苦しむおじいさんや、一人で何かを呟いている人もいた。




お父さんのベッドの前のカーテンに手をかけたまま、しばらく動けなかった。



勇気が出なかった。



もっと悪化していたらどうしよう。


私を見て、もしも誰かわからなかったらどうしよう…



怖いよ。






「直、大丈夫!」



先生が不安な私の手を握ってくれて、私はやっと普通の呼吸ができるようになった。




カーテンを開けた。







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