白いジャージ2 ~先生と青い空~



不器用な先生の手によってつけられたブレスレットは

夕日を浴びてキラキラと輝いていた。




「俺は旅行中限定だからなぁ!」



照れ臭そうな先生の腕にも、ブレスレットが輝く。






「でもさ…直のお父さんが時計のこと覚えてたのは奇跡だな!科学では解明できない不思議な力だよ!それだけ娘を愛してるんだな・・・」




温泉を出て、部屋に戻ってからの記憶は戻らないままだった。



一人きりのベッドの上で、いろんなことを考えていたんだろうな。



だんだん戻ってくる記憶と向き合ったお父さん…




「わしが一番気楽やなぁ!記憶ないから何も辛くなかったし!」


お父さんはそう言って、今では笑い話になっていた。





良かった。



本当に良かった。




あの夜。


お母さんと先生と並んで寝た夜、

私は夜が明けなければいいとさえ思っていた。




現実と向き合うことが恐ろしくて

逃げ出したかった。





でも、寝返りを打つたびに両隣にいる大好きな人が私を心配してくれた。



本当に怖かったね。


お母さん・・・


先生・・・




でも、またお父さんと笑い合えることができて


今は本当に幸せなんだ。



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