白いジャージ2 ~先生と青い空~
随分長い沈黙が続いた。
店に客が誰も来ていないせいで、レジの前の結衣さんにも全部聞こえていた。
「なんだ・・・そうなんだ・・・・・・私こそごめんなさい・・・・・・」
モミジのエプロンに涙がポタポタと落ちて、染みこんでゆくのが見えた。
その時、結衣さんが着替え室のドアを開けた。
「モミジ、わかってあげて。直は相当悩んでたんだ。あんたを傷つけたくないって!」
結衣さんも知っていたことに、モミジはもっと涙を流した。
でも、笑ってくれたんだ。
「良かった…大好きな先生の彼女が直さんで良かった。噂が間違っていて良かったです。」
無理して作った笑顔が痛々しくて、私も結衣さんも泣けてきた。
「時々話してくれた彼氏の話って、アラカズのことだったんですか?じゃあ、ラブラブなんですね。安心しました。」
その日以来、モミジはバイトに来なくなった。
それが彼女の優しさだと思った。
本当は私が辞めるべきだったんじゃないか…
モミジは何も悪くない。
ずっと言えなかった私が悪かったのに。