負け組女子高生
私はカーテンを閉めて勢いよく家をでようとしたが、両親が起きると厄介なので忍び足で家を出た。
「悠紀…」
「謝りに来た。」
悠紀は携帯を閉じると私を見据えた。
パーカーにGパンにスニーカー、というラフな服装だった。
「あやまんなきゃなんないのは私の方だよ…」
私は呟いた。
「いや、あたしあんな感情的になっちゃって。周り見えてなかった。」
悠紀は冷静さを取り戻したようだった。
「あたしも、適当な事言っちゃって、本当ごめん。」
「あんたは気にしなくていいよ。」
そう言って悠紀は黙った。
「悠紀、1つ聞いていい?」
「なに?」
「悠紀の人生の中で、私ってただの石ころみたいな存在?」
どういう聞き方をすればいいかわからなかった。
ただ、悠紀が私の人生にとって大きな存在であったように、悠紀にとっても私は大きな存在だったんだと漠然的に、勝手に思い込んでいたから、悠紀が私の存在関係なしに死にたいと言ったのが凄くショックだった。
「そんなわけないよ。
あんたはあたしのメモリの中で一番大事な友達だよ。
だから来た。」
悠紀の言葉に、私はまた涙が溢れた。
悠紀はだまって私の頭をなでた。
「あんたは充分強くなったね。
もう私が心配するまでもないか。」
悠紀は笑った。
私は泣き過ぎてよく理解できなかった。
私がさんざん泣き腫らした後、悠紀はふと笑って私から離れた。
「麗華。ばいばい。」
「もう帰るの。」
「帰るわ。自分の星に。」
悠紀の冗談がなんだかとてもホッとした。
「はは。何言ってんの。」
「じゃね。ばいばい。」
悠紀はそう言ってニッコリ笑った。
駅に向かって歩き出した悠紀は、ふとこちらを振り返った。
「麗華」
「ん?何?」
私は泣き腫らした目でにこっと笑った。
「やっぱなんでもないや。」
そう言って悠紀はまた歩き出した。
駅まで送ろうか、と叫んだ私に悠紀は1人で大丈夫だとさっそうと歩き出した。
その姿がやけにカッコ良かった。
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